云えない言葉パート2〜Pure Love

user-pic
0

『東京の米』はpure loveなお芝居です。

昨年11月くらいまで、TBS系『Pure Love』という昼ドラがやっていました。素晴らしいドラマでした。オフィシャルHPから引用します。
【小学校の先生と禅宗の雲水(修行僧)という、ストイックな恋を描いた「ピュア・ラブ」。】
嗚呼これ読んだだけでワクワクしませんか?私だけですか?
パート1から始まってパート3で完結したのですが、キスは勿論デートも殆どなし、好きの惚れたのという告白の言葉さえ皆無。先日、稽古場で役者さんたちに半強制的に見てもらいました。

前回は、以下の三つに、「云えない言葉」をカテゴライズしました。
1.云うべき相手がその言葉を知らないでいて、云えない言葉。
2.云うべき相手もその言葉を知っていて、なのに云えない言葉。
3.云うべき相手の腹のなかにも同じ言葉があって、なのに云えないし相手も云わない言葉。

つまり、3.に当たるのが、『Pure Love』の場合です。

けれど、相手が別に修行中のお坊さんでなくても、云えない言葉は日常的に、私たちの腹のなかに溜まっている。云ってしまったら抜き差しならない状況に自分や相手を陥れてしまう言葉。だから、敢えて言葉にしない。「言葉にできない気持ち」でもないし、「相手にショックを与えたり関係を壊してしまうから言えない」だけでもない、「相手も自分も承知しているのに言えない」言葉。云ったら変化し始めた状況の舵を、自分がとらなければならないから。保身。自分が可愛い。責任がとれない。などなど。
だから、言葉ナシで曖昧にして済まそうとしてしまう、場合もありますよね。好きって云わずにセックスしてしまうとか。ルージュの伝言だけ残して彼の実家に逃げるとか。

そういう言葉を腹の中にしまっておくと、やっぱりガスみたいに溜まって苦しいと思います。やがて、大事な言葉を云わないまま人はおッ死んでしまって、そういう言葉が世界のどこかにたくさん溜まっているような気がする。いつかオゾン層を5%くらい破壊します。どうすればよいのか。

愛することに疲れたみたい
嫌いになったわけじゃない
部屋のあかりはつけてゆくわ
鍵はいつもの下駄箱のなか

云ったら、別れさせてもらえないです。だから、この言葉は間違いなく、男に伝わっていない。二度と伝えられない言葉。女の腹のなかに、永遠に溜め込まれた言葉。女が死んだら大気の中を上昇して、牛のげっぷと一緒くたになってしまう言葉。
でも松山千春が歌えば、「云えない言葉」はちゃんと云ってもらえるから、溜まらない。松山千春が牛のげっぷを引き受けるから。喩えるなら松山千春は、牛がげっぷしちゃう前に牛の腹をさすってやってるのだと思います。

思えば歌やお芝居は、ほとんどがこんな言葉でつくられているのかもしれない。それはだから、自己満足とかじゃなくて、ちゃんと地球規模で貢献してますね。えらいです、千春。オゾン層の破壊を食い止めるため。ぼくらの地球を守るため。

『東京の米』は、牛のげっぷみたいなお芝居です。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://blog.pepin.jp/mt/mt-tb.cgi/6