けものだもの

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8月になりました。暑いですね。何が暑いって、頭が暑いです。太陽に一番近いところが、黒髪なんですものね日本人は。いっそスキンヘッドにしてしまいたくなる暑さですね。
あんまり太陽の光が強くて、万力で締めつけられてる気がします。陽射しにからだが押しつぶされてぺしゃんこになってく気がします。
皆様はぺしゃんこじゃないですか。ちゃんと頭で天を支えて仁王のように立ってますか。

今日はそんな、8月の真昼のような暑くるしい思い出話をします。
高校生のころ、電車の中吊りで詩集の広告を見たことを覚えています。
相田みつをの「にんげんだもの」だった気がします。
そのコトバは、大戸屋みたいな筆文字で(大戸屋が相田みつをみたいなのか)
デカデカとぶら下がっていました。
それを見た当時ミニスカートにルーズソックスの私は、
なんだかとっても憂鬱になって、学校へ行くのもイヤーな気分になって、駅に着くまでシートに座って狸寝入りしました。ふつうですけど。
それ以来、「相田みつを」にお門違いの恨みを抱きつづけてきました。

なぜそんなにイヤーな気分になったのか、制服を着ていない今ではあまり思い出せないけれど、
なんだかそのコトバが私に向かって両手を広げてる感じがしたから、
「許してやる、いいよそのままで、許してやる」って言ってる感じがしたから、かもしれません。
だけど私には自分自身がたいへん受け入れがたく、
そして「私がだめなことは私が一番わかってる」という不遜な考えを持っていたからかもしれません。
その裏側に、「私はほかのひとと違う」というごくまっとうな驕りがあったからかもしれません。
どんなにみつをが「そのままでいいよ」って言ったって、いいわけあるか!って思ったんじゃないかしら。みつを、あんた何様?みたいな。

いまはもう少し、自分のことは自分には結構わからないもんだ、と嘯くようになったし、
自分がだめなときは、誰かに「大丈夫だよ」って言われて涙が出るほどほっとするなんてこともあるくらい、表向きは謙虚になったけれど。
でもやっぱり言われたくないです、「にんげんだもの」なんて。
だって、にんげんだもの。
その他大勢にはなりたくないんだもの。
自分だけは特別なにんげんだと思いたいんだもの。
そんな、その他大勢の、ひとりのにんげんなんだもの。

そんな、青春のたそがれの「私」ループのなかにいつまでとらわれていても、
けっこう順調に歳は重ねていくし、
もうみんなと同じ制服は着なくていいけど結局ユニクロとか着てるから、


そんな自分を「にんげんだもの」と開き直ってもいいんですけれども。
そろそろ、みつをと仲直りしてもいいかなって思ったんですけれども。


8月の陽射しにぺしゃんこにされながら、なんでこんなに暑いのかなあって
小学生並みの疑問を口にしたら、
ふいに「毛だらけだから」って声が聞こえました。
そうそう、私って毛だらけだったんですよね。スキンヘッドは思いとどまっても、
人並みに水着の恋をするには、こまめに毛を剃らなきゃいけなかったりするんですよね。
獣って、「毛物」なんですって。全身毛に包まれている動物。
歳を重ねれば重ねるほど、恋人のひげは濃くなっていくし、
ユニクロ以前に人類共通のユニフォームは「毛」ですよね。
だから、「にんげんだもの」って開き直るかわりに、
「けものだもの」って開き直ってみることにしました。

毛って何故か恥ずかしいですね。
でも、その他大勢の、ひとりのにんげんとして、自分を受け入れるためには、
生まれたまんまの、裸の自分を受け入れるためには、
裸で毛だらけの自分を、まずは受け入れなくてはいけない気がしました。


8月19日から横浜にて、ぺピン結構設計『ポエムの獣』。
皆様どうぞいらしてください。太陽が翳り始めた、夕暮れから始まるひとときです。
この季節、日中は暑いですから。
けものだもの。

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