記憶スケッチ/シンデレラ

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今日は、『シンデレラ』の製作過程を紹介させていただきます。


私たちの稽古場では、即興のエチュードをよくやるのですが、
今回の『シンデレラ』の稽古場では、初めの段階で
シンデレラ物語を再現する即興劇を、何度か作りました。

1?2つのルールを設けて、「シンデレラのお話を最初から最後までやる」と決め、
とにかく全員で演じながら、即興で作っていきます。
ストーリーや筋書き、ときには役柄も決めずに始めるのですが、
人それぞれ、記憶しているシンデレラ物語が違うので、
突然予想外の展開をしたり、なかなか結末に辿り着かなかったり、します。

そもそも、最初のスタートがけっこう難しい。
シンデレラって、どの場面から始まるんだっけ?
最初に居る人って、誰だっけ?
そういうことを、打ち合わせなしで、あえて"うろ覚え"で、みんなで作っていきます。
ナンシー関さんの「記憶スケッチアカデミー」ってご存知ですか?
うろ覚えって、思い込み・間違いだらけのくせに、妙なところで全員一致してたりしますよね。
人それぞれの記憶のズレ方や、共有されている部分とのコントラストが、面白い。

最初に登場した人が、「魔法使い」で始めることもあれば、「王子」で始めることもあります。
それによって、その後の展開も変わっていきます。
つまり、全員でシンデレラを「記憶スケッチ」していくような感じ。

そうやって、あいまいな記憶をもとに、即興で作っていく中で、
そこに参加している全員が共有している、シンデレラ物語の最小公約数がちょっと、見えてきます。
簡単に言うと、「最低限、何が起きれば『シンデレラ』として成立するのか」ということだったり、
「私たちは、シンデレラ物語のどこが『シンデレラ』っぽい、と感じているのか」ということです。

そもそも、昔話や伝説って、語り伝えられてくるなかで、
話す人と聞く人の記憶がどんどんズレていって、色んなバージョンが生まれたり、
何となく「やっぱ、ここが面白いよね?」ってみんなが思うところが残って、
今よく知られている有名なお話の形に落ち着いていたりすると思う。
意図的に、解釈を加える人や、自分オリジナルのメッセージをこめようとする人もいただろうし。
そういう、ズレやアレンジやパロディが、今のシンデレラ物語を作っている。
それが、すごく面白いな、と思うのです。


そんなわけで、このエチュードが、脚本のベースになっています。
観に来ていただけると、それが反映されているのがお分かりいただけるかもしれません。
単純に、このエチュードが楽しくて何度もやってた、というのもあるんですが。

そして思い返すと、小学生の頃、こうやってお芝居を作っていたな、と思い出しました。
子どものごっこ遊びには、脚本は無いもんね。

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