2010年6月アーカイブ


ペピンでは、作品づくりの過程で、よく役者さんやスタッフさんに作文を書いてもらいます。
今回、自分にとって「マルチメディア」という言葉から思い出す記憶について、書いてもらっています。

題して、『あの日の俺のマルチメディア』。
というわけで、私もここで作文を書いてみようと思います。

「マルチメディア」という言葉を聞いて、私がつい思い出しちゃうのは
七色の光です。

無意識のうちに言葉と結びついてしまった記憶、というのがあります。
たとえば
私は「主婦」と聞いて思い出すダイニングキッチンのイメージがあるのですが
どういうわけかそれが、幼馴染の「ゆきちゃん」の家のキッチンだということに
つい先月気がつきました。
小学校3年のときに引っ越していったゆきちゃんの家のダイニングキッチン。
確かにゆきちゃんのお母さんは主婦だったけど、でもゆきちゃんの家族はそこには居ない。
ただ白いスチールラックが掛かったキッチンと、ダイニングテーブルの風景を思い出します。
全然ゆきちゃんのお母さんと関係のない、たとえば「主婦のお小遣い稼ぎ」とかって言葉を聞いただけで
その場所の景色が思い浮かびます。

閑話休題。
「マルチメディア」の七色の光は、プリズムを通った光みたいな虹。
生まれて初めて見た、CDの裏側。
水たまりに浮かんだガソリン。
大事に抽斗にしまったままだったオーロラ折り紙

というか、オーロラ。(死ぬまでに絶対に見に行きたい)
LSDをやった人が見る幻覚。(この映像はイメージです)
秋葉原の、電気街のネオン。(マルチメディアの近くに戻ってきた)
サトームセンやオノデン、石丸電機のCMで、
背景をビュンビュン光が流れていきますよね?
あんな感じ。

と思ってYouTubeで確認してみたら、
まったくそんな光は入ってませんでした。まったく。
記憶ってほんとにいい加減だ。

これは、以前に部屋の窓からみつけた二重の虹。

IMGP0968.JPG

子供の頃読んだ、『にじにのるおとこ』という絵本を思い出します。
世界の始めの頃、ひとりぼっちの男が、流した涙を集めて投げて
空にかかった虹に乗って、"向こう側"へ行き、ともだちに出会うという話です。
(たしか)

Somewhere over the rainbow, way up high
There's a land that I heard of once in a lullaby

初演『マルチメディア』には、「マルチメディア・ランド」というテーマパークが出てきます。
「マルチ」という言葉は、たくさんの、とか複数の、とかって意味だそうだけれど
どこか私にとっては「すべて」とか「完全な」とか
「多」よりは「全」というイメージがあるようです。
というか、「多」であって「全」。「一であって全」とは違うかも。
必ずしも、一つの全き宇宙じゃないのです。
そこには私とあなたがいて、こちら側とあちら側があって、此処と、此処ではない何処かがある。
虹色の光のイメージも、どこか超越的なものや体験と結びついているように思います。
彼岸であり、未知の世界であり、届こうとして届かなくて、それでも届きたい場所。
もしかしたら、特定の時代の、特定の社会だけの限定的なイメージかもしれないけれど
私が子供の頃聞いた「マルチメディア」という言葉には、そんな憧れが結びついている気がするのです。
オーバー・ザ・レインボー。

IMGP0970.JPG

That's where you'll find me... てなもんだこりゃ。


今後、ペピンメンバーを中心に
できたら役者さんやスタッフさんの作文も、こちらで紹介していきたいと思います。
お楽しみに。

さちこ 07/04
石神 夏希 07/11
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