今日、過去に送付した公演案内を閲覧していたら
2004年『ポエムの獣』のお知らせで、自分が
お客さん全員に自作の詩を送りつけていたのでびっくりしました。
どうやら、「恥ずかしい私」という作品テーマにちなんで、そんなことをしたようです。
大胆ですね、2004年の私。
でも詩を書いて送るのが恥ずかしいあたり、まだ青いですね。
ちょうど、季節柄ぴったりだと思うので、こちらにも載せます。
夏のポエム。
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「夏」
私は長い間バスに揺られていた。稲妻に脱色された空はゆっくりと乾いて、青ぶくれの夏が隣に座った。青ぶくれは私に「ほくろを数えろ」と言った。ぶくぶくと膨れてまことに気味の悪い顔だ。バスが揺れ、数えるたびにほくろの数は変わるので、私は「どうしようもない」と言った。
青ぶくれは運転士に「左に曲がってパーキング」と言った。けれどもバスがパーキングに止まるわけはない。私はずいぶん急いでバスから降りたのだけれど、青ぶくれはついてきてしまった。
夕飯の時間、青ぶくれがうるさく話しかけるので箸で口をつまんでやった。
風呂の時間、青ぶくれが窓からのぞいていけないので目玉に石鹸を塗りつけてやった。
寝る時間になっても青ぶくれがうるさいので、ベランダに締め出してやった。
青ぶくれはガラスのむこうでむくむく膨れたほっぺたに涙を流した。
その晩は雨が降った。
夢の中で青ぶくれが雷の音におびえて泣いていた。
ほくろはみんな、雨に流されてきれいになくなってしまった。
朝、目が覚めると、ベランダにもくもく膨らんだ青ぶくれの夏がいた。
布団のうえから青ぶくれが私を踏みつぶした。
万力のように私を押しつぶした青ぶくれの体温はまことに高かった。
青ぶくれは私に「ほくろを数えろ」と言った。
どうしようもない。
私は泣いてしまった。
ほくろがあるのではありません。それは
鉛筆の芯がささったまま大人になってしまっただけですよ。
それはただの夏の思い出ですよ。---
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